セールスイネーブルメントを徹底解説!自社で取り組むポイントとは?
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はじめに
2010年代後半から、営業活動において「セールスイネーブルメント」という言葉が注目を集めています。「営業成果をあげていくための、組織の強化や改善に関わる取り組み全般」を意味し、セールスフォース・ドットコム、マイクロソフト、アマゾンなどの大企業が導入したことで、欧米では一般的に使われている言葉です。
近年、日本でもセールスイネーブルメントを導入する企業が増加していますが、まだまだ事例は多くありません。
今回は、セールスイネーブルメントが注目される背景や導入のメリット、企業で推進する際のポイントについて解説します。
セールスイネーブルメントとは?

そもそもセールスイネーブルメントとはどのような意味なのでしょうか。ここでは言葉の定義や、セールスイネーブルメントが注目されるようになった背景などについて解説します。
セールスイネーブルメントの定義
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)は、「営業成果をあげていくための、組織の強化や改善に関わる取り組み全般」を意味します。ここでいう「組織」とは、単に営業部門だけを指すのではありません。
営業部門が活動する裏では、マーケティング部門が営業リードを獲得したり、人事部門が営業担当者向けの研修を実施したり、情報システム・IT部門が営業ツールの管理をしたり、法務や事務部門が書類の管理したりと部門を横断した様々な業務が存在します。
これら営業にかかわるそれぞれの部門を分断するのではなく、部門横断で改善施策や効果測定を実施することで、営業活動の最大化と効率化を目指すのがセールスイネーブルメントの基本的な考え方です。
セールスイネーブルメントが重要視される背景
2010年代に入り、MA(マーケティングオートメーション)ツールやWebマーケティングが急速に普及しました。結果、これまで主流だったテレアポや足を使った営業とは比べ物にならないほど、企業は膨大な見込み顧客を獲得できるようになったのです。同時にこれまで可視化できなかった営業のプロセスのデータを蓄積できるようになりました。
つまり人海戦術で行なってきたリード獲得や商談機会は、テクノロジーの駆使で大きく効率化が進んでいます。
さらに日本では働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)が活発化したことで、営業活動においてセールステック(SFA、MA、CRM)を導入する企業が急速に増加しました。
加えて新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、働き方そのものが大きく変わりました。よりセールステックを駆使した営業活動が求められています。
現状ではデジタル上で見込み顧客を獲得できるようになりましたが、実際の売上につなげるためには顧客管理、営業プロセスの可視化が不可欠です。さらに営業部門の業務効率化、生産性向上が成し遂げられなければ、機会損失となる状況も増えてしまいます。
そのためセールスイネーブルメント、「営業にかかわる部門全般の強化と改善」が叫ばれるようになりました。
セールステックとの違い
セールステック(Sales Tech)とは、営業活動の効率化や生産性の向上を図る、SFAやCRMなどのITツール、手法を指します。しばしばセールスイネーブルメントと混同されますが、セールスイネーブルメントは、大きな概念では営業組織のマネジメント手法です。
そして「組織の強化や改善に関わる取り組み全般」を行うためには、セールステックが欠かせません。つまりセールスイネーブルメントを実現するには、セールステックを活用しなくていけない、ということです。
セールステックで営業のプロセスや成果を可視化でき、営業活動を手間なく管理できるようになりました。しかし、ツールの活用だけでは本質的な営業力の向上には至りません。
そこで、SFAやCRMを活用しながら営業活動を管理するのはもちろん、セールステックの推進だけではカバーできなかった、営業にかかわる組織の強化や改善に取り組むのがセールスイネーブルメントの考え方です。
セールステック推進にはセールスイネーブルメントが欠かせず、またセールスイネーブルメントの推進にはセールステックが欠かせない存在といえるでしょう。
セールスイネーブルメントに取り組むメリット

セールスイネーブルメントに取り組むメリットについて、大きく2つ紹介します。
営業力の底上げと平準化を図れる
これまでの営業スタイルでは、個人が独自の方法で営業活動を行い、そのスキルやノウハウが共有されることはほとんどありませんでした。
セールスイネーブルメントでは、成功事例や様々な営業ノウハウを理論だてて積み上げられます。蓄積されたノウハウは、教育研修などにも応用できるでしょう。営業担当者が広く知識を享受できるため、スキル格差がなくなり、全体の営業力底上げにつながります。
営業活動が最適化できる
前述したように、セールスイネーブルメントの推進にはSFAやCRMの活用は不可欠です。ツールの活用にセールスイネーブルメントの考え方を導入することで、可視化された営業プロセスや実績を組織の改善に生かせるようになります。
成果の出ている営業担当者は、どのようなアクションを起こしているのか?そのほかの営業担当者と比べ、営業プロセスにどのような差があるのか?などがすべて見えるため、具体的な行動や施策に落とし込みやすくなるのです。
セールスイネーブルメント推進のポイント

実際にセールスイネーブルメントを推進するには、まず何から始めたら良いのでしょうか。ここでは、理想的な推進ポイントを解説していきます。
専門チームを立ち上げる
セールスイネーブルメントを本格的に推進するには、専門チームの立ち上げが必要です。チームは営業部門だけでなく、従業員の教育を担当する人事や、ツールの運用管理を行う開発部門・情報システム部など、営業活動にかかわる様々な部門で連携できる環境を構築しましょう。
CRM/SFAツールの活用
セールスイネーブルメントでは、CRMやSFAを用いたデータの蓄積が欠かせません。たとえば見込み顧客数、受注率、売上額などはもちろん、営業プロセスや教育研修の履歴などもデータとして残しておきましょう。
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営業施策ごとの定量分析を行う
ツールの導入がある程度進んだら、各施策の効果測定を行います。 実施した教育研修や、現在行っている営業プロセスの手法、営業活動にかかわる施策すべてが、どの程度成果に貢献できているのか分析しましょう。
また、定めたKPIやKGIに対してどの程度進捗しているのかもここで判断します。場合によっては施策の中止や変更を行うなど、営業活動の効率化、最適化のための改善を行う必要があります。
営業ノウハウを共有する
施策の分析を行い、効果のあるアクションが見えてきたら、そのノウハウを社内で共有しましょう。マニュアルを作成する、教育研修を実施するなど方法は様々です。営業活動は個人に依存し属人化しやすいため、ノウハウの共有は意識的に行う必要があります。
継続的な改善活動を行う
営業活動における改善点が見え、ノウハウの共有が行われたとしても、それが続かなければ意味はありません。教育担当者が中心となり、継続的なトレーニングを行いましょう。
また、継続的な改善活動は新入社員のオンボーディングにもつながります。営業成果を上げ続けるためには欠かせない活動です。
ツールを活用し効率的なセールスイネーブルメントが重要
今回はセールスイネーブルメントについて、定義や注目される背景を整理しました。セールスイネーブルメントは、MAツールやWebマーケティングが普及した現代においてはなくてはならない考え方です。営業部門だけでは本質的な解決はしないため、部門間で協力しながら全社横断で取り組みましょう。
また、セールスイネーブルメントを効率よく進めるにはツールの活用が欠かせません。コネクシオでは、様々なご要望に合わせ営業支援ツールを提供しています。セールスマネジメントでお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。